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精養軒

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中学の教科書に、井上ひさしの『握手』という話があった。
その中で主人公の『僕』と、ルロイ修道士が二人で上野の精養軒で待ち合わせてご飯を食べる。
ルロイ修道士は、今度、田舎へ帰ることになりました。と、僕に話す。
そのため、教え子たちを巡っているそうだ。
ルロイ修道士はプレーンオムレツを注文したが、なかなか口に運ぼうとしない。
なんだかおかしい、と僕は感じていたが、別れの際にした握手で、それは確信に変わる。
(その手は、すっかり細くなっていたのだ。)

その話にでてくるプレーンオムレツ、中学一年生の私にはなんだかとっても素敵な響きで、
いま考えると自分でも簡単につくれるのに、
幼かった私はプレーンオムレツとやらに憧れを抱いていた。
きっと一生口にすることもないだろうと思っていた。


先日国語の教師の母と浅草にいった際、精養軒を見つけて二人でテンションがあがった。
あのプレーンオムレツを食べてみたい!
さっそくお店に入り、メニューをみたがプレーンオムレツはなかった。

残念だったけど、オムレツハヤシを注文して二人で食べた。
感想は、、、至ってフツウ。

それでも、あの物語の中に足を踏み入れた感じがして、嬉しい出来事だった。

by hata_photo | 2011-02-17 02:13